改正民法がIT業界に及ぼす影響とは

2020年4月1日、120年ぶりに民法が改正されます。

改正による影響範囲は多岐にわたり、IT業界にとっても無関係なことではありません。

請負・準委任契約の在り方や瑕疵についての考え方が変更されており、これを知らずして契約を交わすことは非常に危険です。

変更点1.「瑕疵」が「契約不適合」へ

まず、民法から「瑕疵担保責任」という言葉が消えました。

これに代わる言葉として、「契約不適合担保責任」という名称に変更となります。

「瑕疵」は普通なら備えているはずの品質や性能が備わっていない、契約者の要望・要件を満たしていないことを意味するのに対し、「契約不適合責任」は納品物の種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことを意味します。

変更点2.契約不適合時の請求内容

納品物に不具合があった場合、親事業者は請負業者に対し契約不適合であるとし以下の請求ができます。

追完請求 ・・・ 不具合部分の補修、代替物の引渡し又は不足分の引渡しを請求する

損害賠償請求・・・信頼利益(契約が無効ないし失効した場合に契約が有効だと誤信したために生じた損害)および履行利益(契約が履行されていれば得られたはずの利益)が賠償の対象となる

代金減額請求・・・補修・修理を請求したが請負業者がこれに応じない場合、代金の減額が請求できる

契約解除・・・補修・修理を請求したが請負業者がこれに応じない場合、契約を解除して代金の返還を請求できる

変更点3.請求期限

瑕疵担保責任にも時効が設けられておりましたが、契約不適合責任にも時効が設けられています。

現行民法では「納品から1年以内」とされてましたが、改正後は「不適合であることに気付いてから5年以内」となりました。

ただし、「気付いてから」ですと実質永久の権利となってしまいますので、そこは5年の上限が設けられています。

契約書作成のポイント

現行民法の条文では、契約(意思表示)が錯誤によって無効となるための要件として以下の定めがあります。

(錯誤)
第95条
意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

このように、「動機の錯誤」について明確な定めがありませんが、改正民法では明文化されました。

(錯誤)
第95条
1.意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
4 第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

これにより、紛争となり裁判官が契約書を解釈する際に、その契約の趣旨や目的が重視されることになります。

従って、契約の目的条項については契約締結に至る経緯・背景・動機・意図・合意に至る前提条件等を細かく規定しておくことが必要になります。

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